カメラについて

今回はカメラ自体について書いてみます。 長文で画像大量。


…本当は具体的に「これを買おう!」とか言ってみたいところなんですが、
なにせ責任と自信を持ってオススメすることは極めて困難であり…

なのであくまで「カメラ選びの参考に」ということで書きます。


そんな方はほとんどいないとは思いますが、
「ナノブロック撮影のために専用のカメラを買う必要はない」と僕は思います。
たいていの方の場合は、手元にはすでに撮影可能な機器があるでしょうし、(私見ですが)ナノブロックのために特別必要な機能なんてないんです。
いまどきの撮影機器はどれもキレイに写るし、当然ナノブロックを撮ってもキレイに写ります。

でもそれでも「ナノブロック撮りを想定してカメラ選びをしたい!でもどれが良いのか…」という方がいれば、
 ・そのカメラの作例をみて決めよう
・ISO感度の調節ができるものを選ぼう(絞りとシャッター速度も調節できるとなおイイね!)
・レンズが明るいものを選ぼう
と答えるでしょうか…(欲を言えばRAW出力あるとイイね!

とは言っても、これもナノブロック撮りに限った要素ではありません。
下で説明していますが「ナノブロックだから」という理由は全然なく、
"ここを押さえると上手く撮れる可能性が高くなるかも"程度であり、結果として"ナノブロックも上手く撮れるかも"なのです。

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さて…
とりあえずなにで撮ったらどう写るかを見てもらうために、手持ちの撮影可能機器からいくつかをピックアップして試してみました。
使用した機器と仕様は以下のとおり。
※書いてあることがよくわからなくても、特に気にする必要はありませんデス(^^)

1:N社 ゲーム機 CMOSセンサー 有効画素数 約30万画素
 (記録画素数 0.3メガピクセル 640x480)
 単焦点レンズ 詳細不明
2:S社 携帯電話
 CMOSセンサー 有効画素数 約500万画素
 (記録画素数 最大5メガピクセル 2,576x1,932)
 単焦点レンズ F2.8 焦点距離3.4mm(35mm版換算32mm)
3:A社 スマートフォン
 CMOSセンサー 有効画素数 約800万画素
 (記録画素数 最大8メガピクセル 3,264x2,448)
 単焦点レンズ F2.4 焦点距離4.13mm(35mm版換算33mm)
4:P社 コンパクトデジタルカメラ
 CCDセンサー 1/2.3型 有効画素数 約1210万画素
 (記録画素数 最大12メガピクセル 4,000x3,000)
 ズームレンズ F3.5-5.9 焦点距離5.1-25.5mm(35ミリ判換算 約28~140mm)
 ※撮影時F3.5/5.1mm
5:P社 レンズ交換式デジタルカメラ + 単焦点レンズ
 CMOSセンサー 1/2.3型 有効画素数 約1240万画素
 (記録画素数 最大12メガピクセル 4,000x3,000)
 単焦点レンズ F1.9 焦点距離8.5mm(35mm版換算47mm)
6:S社 コンパクトデジタルカメラ
 SuparHAD CCDセンサー 1/1.7型 有効画素数1360万画素
 (記録画素数 最大13メガピクセル 4,224×3,168)
 ズームレンズ F2.8-5.5 焦点距離7.6-22.8mm(35mm版換算35-105mm)
 ※撮影時F2.8/7.6mm
7:O社 レンズ交換式デジタルカメラ + 単焦点レンズ
 Live MOSセンサー 4/3型 有効画素数 1605万画素
 (記録画素数 最大16メガピクセル 4608x3456)
 単焦点レンズ F1.8 焦点距離45mm(35mm版換算90mm)


まずは同条件の被写体を撮影した画像を。
1024までサイズ縮小はかけていますが、トリム等はなし。クリックで拡大可能です。
※いずれもオートモード等自動撮影機能で、極力電源を入れてシャッターを切るだけで撮影しました。
 「げっ…」と思った奴もそのまま

N社 ゲーム機
1:N社 ゲーム機
S社 携帯電話
2:S社 携帯電話
A社 スマートフォン
3:A社 スマートフォン
4:P社 コンパクトデジタルカメラ
5:P社 レンズ交換式デジタルカメラ
6:S社 コンパクトデジタルカメラ
7:O社 レンズ交換式デジタルカメラ + 単焦点レンズ

細かい部分を見るために、1024x768に球体が収まるように拡大縮小してみます。
N社 ゲーム機
1:N社 ゲーム機
S社 携帯電話
2:S社 携帯電話
A社 スマートフォン
3:A社 スマートフォン
P社 コンパクトデジタルカメラ
4:P社 コンパクトデジタルカメラ
P社 レンズ交換式デジタルカメラ + 単焦点レンズ
5:P社 レンズ交換式デジタルカメラ + 単焦点レンズ
S社 コンパクトデジタルカメラ
6:S社 コンパクトデジタルカメラ
O社 レンズ交換式デジタルカメラ
7:O社 レンズ交換式デジタルカメラ + 単焦点レンズ
同じ光量で同じ時間に同じ被写体を撮ったのですが、予想以上に明暗がバラつきましたね…

カメラについては、いわゆる"写り"に影響を及ぼすと思われる要素が多くあります。
以前から宣伝などでよく謳われる「有効画素数」、
最近の宣伝に多い「レンズのF値」(ごく簡単に言えば、小さいと写りが明るい・暗所に強い)、
さらには「ISO感度」「撮像素子のサイズ」「画像処理エンジンの性能・特徴」「撮影時の設定」等々…
これらすべてが相互に影響し合って撮像が構成されると言っても過言ではありません。

例えば上の作例では「有効画素数」の小さい方から大きい方へ並べてみていますが、
ただシャッターを切ったときの写り方は、必ずしも画素数大>小ではないことがわかります。
4と5では同センサーサイズでも写り方が違いますし、携帯電話・スマートフォンはなかなかの写りで健闘してます。このへんも数字では見えにくい点です。
ただいずれにしても「全然ダメ」なものはありません。
(N社ゲーム機は仕様的に他と比較するのはかわいそうだったかな…と思いますが、)少なくともナノブロック撮りにはさほど問題がなさそうな感じです。

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じゃあ、何を判断材料にすればいいのか?
ということになりますが…

もし僕が選ぶなら、冒頭で書いた
・そのカメラの作例をみる
・ISO感度の調節ができるものを選ぶ
 (できれば絞りとシャッター速度も操作できるものを選ぶ)
・レンズが明るいものを選ぶ
・RAW出力ができるものを選ぶ
を基準に考えるかなぁ と思います。

【作例をみる】
身も蓋もないですが、上の作例のように「見てみないとわからない」。これに尽きます。
ことデジタルカメラについてはカタログ上の数字の大小が必ずしも求める結果に結びつかないこともあり、
概ね仕様上の数字で求めるものの目星をつけるとして、公式サイトの作例でもよし、購入者のレビューや作例を探してみるもよし…
数字で表せない実際の出力は、これはもう見てみるしかありません。

【ISO感度の調節ができるものを選ぶ】
レンズが明るいものを選ぶ】
デジタルカメラにおけるISO感度とは、ごく簡単にいえば撮像素子の光に対する敏感さです。
光量の少ない状況で撮影する場合、
 ・シャッター速度を遅くして光を多く取り入れる
 ・絞りを開いて光を多く取り入れる
 ・ISO感度を上げて光を多く捉える
の三要素で補正を図ることが一般的ですが、
この中の「ISO感度を上げて」では、たいていのデジタルカメラの場合画質低下が生じます。
なので、
できればISO感度を、破綻しない程度の画質で手ブレが酷くならないシャッター速度を出せる程度の値に設定し、
他の二要素で解決を図るように撮影できるカメラであれば平均画質の向上に繋がるかと思います。
(絞りとシャッター速度も操作できるカメラであれば、撮影環境に柔軟に対応できます)

また、レンズが明るいものを選ぶ】 はこの際に有効で、レンズが明るければISO感度・早いシャッター速度での撮影が可能になります。
当然ですが暗所撮影にも強くなります。

例としては少々極端ですが、
4:P社 コンパクトデジタルカメラのISO1600撮影とISO80撮影を並べてみます。
違いが見えるでしょうか…
P社 コンパクトデジタルカメラ ISO1600
P社 コンパクトデジタルカメラ ISO1600 シャッター速度1/500Sec
P社 コンパクトデジタルカメラ ISO80
P社 コンパクトデジタルカメラ ISO80 シャッター速度1/25Sec
…とここまで書いてアレですが、いま逆にISO設定できないカメラってあるのかな。
トイデジとかスマホ・携帯ならあるかな…。

【RAW出力ができるものを選ぶ】
これは途端に値段も敷居も高くなるのでオススメしにくいのです
なのであくまで参考で

上位機種になると、撮像の記録形式にJPGに加えて"RAW"が追加されたものが出てきます。
RAWとは、カメラが画像処理エンジンで加工する前の情報、つまりセンサーが捉えたイメージ情報そのままの状態のデータ。
完成した時点で画像の構成に不要な情報を捨ててしまうJPGと異なり、
RAWではセンサーが捉えたイメージ情報そのままがあるため、後で比較的自由度の高い画像調整が可能です。
※画像調整はソフトウェアを自分で操作して行うため、手間は格段に増えるしある程度の知識も必要になります
ただし、ピンボケはダメ。ピンボケは直せないので、撮影時にはしっかりピントを合わせて撮りましょう(笑)

作例の中では5と7がRAW出力対応なのですが、たとえば7:O社 レンズ交換式デジタルカメラで、
画像処理エンジンから撮影したままJPG出力されたものと、RAWデータを現像ソフトにより明るいJPG出力としたものとを並べるとこんな感じです。
O社 レンズ交換式デジタルカメラ JPG
O社 レンズ交換式デジタルカメラ JPG
O社 レンズ交換式デジタルカメラ RAW編集→JPG
O社 レンズ交換式デジタルカメラ RAW編集→JPG
撮影"後"に明るくできることがわかります。他にも色温度(青い赤い)等、色々補正できます。
撮影に失敗はつきものですが、RAW出力ができるカメラであればある程度のフォローが効くので、
”上手に撮れた写真”が増える可能性が高まると思います。

注記:
実際にはカメラが出力したJPGを画像処理ソフトで明るくすることも出来なくはないのですが、
ないものを作り出すためどうしても画質劣化が生じます。
JPGを画像処理ソフトで明るくしたものとRAWデータを現像ソフトにより明るいJPG出力としたものを並べてみると、こんな感じです。(細部確認のため等倍拡大しています)
O社 レンズ交換式デジタルカメラ JPGをソフトにより露出補正(等倍)
O社 レンズ交換式デジタルカメラ RAWからの露出補正
O社 レンズ交換式デジタルカメラ RAWから露出補正JPG出力(等倍)
ちなみに僕は、最近のナノブロック撮りにはO社レンズ交換式デジタルカメラをRAW出力で使っています。


以上、 
長々と思いつくまま書いてみました。参考にならなくてもどうかお許しを…

次回は三脚のススメを書くかもです。
ナノブロック撮りで活躍するケースがありますよ。三脚。
上手く撮れる可能性もあがりますしネ!

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<最後にちょっと言い訳…>

なぜカメラ選び…というか「コレ良いですよ〜」とオススメすることが困難かというと、
僕は「カメラ選びは ほぼ 取り返しがつかない」と考えているからなのです。
正直言って、カメラ選びはちょっとした賭けです。

非常におおざっぱではありますが、
フィルム時代の「カメラで被写体を撮影し画像を可視化する」という行為には
【カメラ内】
 本体操作で撮影条件を決定 → レンズで結像 → フィルム感光
【カメラ外】
 フィルムの現像 → 印画紙への引き伸ばし(いわゆるプリント)
と、これだけの要素がありました。
※実際には現像/プリントともいくつかの工程に分かれているので、さらに細かいです

これがデジタルカメラになってどうなったかというと、
【カメラ内】
 本体操作で撮影条件を決定 → レンズで結像 → センサーで光を電気信号に変換
 → 画像エンジンで画像形式に変換→メモリーに格納
【カメラ外】
 メモリーから紙/ブログアップロード先等の他の媒体へ移動・複製
と、ほとんどがカメラ内で行われるようになりました。
(現像・引き伸ばしに関わるRAW形式については前述)

簡単になりました。フィルム現像のための暗室もプリント屋さんもカメラの中にある感じですね。
と同時に"カメラ次第の部分が多くなった"と僕は思っています。
赤字部分が撮影者の介入の余地があるポイントなのですが、
フィルムカメラ時代に比べ、可視化に至るまでにカメラで決まってしまうことが多くなりました。

特に大きいのは「センサー」と「画像エンジン」の存在。
言ってみればフィルムも現像〜引き伸ばしまでやってくれるプリント屋さんも固定です。
レンズ性能も非常に重要な要素ではあるのですが、それでもセンサーと画像エンジンは写りにとっては無視できない存在。
そこが固定ということは、カメラ本体を選ぶことはとても大事なことだということなのです。

とはいえ、怖がっていてはいつまで経ってもデジカメを手に出来ませんし、過度に恐れることもありません。
絶望的に絵の悪いカメラはそうそうありませんし、
少なくとも公式サイトに作例があるなら、どうにかすればその画質を得ることは可能なのですから。(笑)

ということで、 ここまで散々脅しておいて何ですが「じゃあ買わい」ではなくじっくり選んで楽しく撮ることをオススメして、今回を終わりたいと思います。

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